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Merge pull request #170 from sishii0418/feat/liu_et_al_2024
Liu et al. (2024)
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Original file line number | Diff line number | Diff line change |
---|---|---|
@@ -0,0 +1,71 @@ | ||
--- | ||
id: "29" | ||
title: "教員給与引き上げ" | ||
description: "中国の農村部における教員給与引き上げが生徒の成績に与える影響" | ||
date: "2024-09-08" | ||
category: "education" | ||
categoryLabel: "教育" | ||
tables: [ | ||
{ | ||
"title": "生徒の数学と国語の成績", | ||
"effectiveness": "効果あり", | ||
"strength": 3 | ||
}, | ||
{ | ||
"title": "教員の大卒割合", | ||
"effectiveness": "効果あり", | ||
"strength": 3 | ||
}, | ||
{ | ||
"title": "教員一人当たりの生徒数", | ||
"effectiveness": "効果あり", | ||
"strength": 3 | ||
}, | ||
] | ||
points: | ||
- 教員の給与が1%引き上げられると、教員がつける4段階の成績において生徒の数学の成績が0.48%、国語の成績が0.39%向上した。 | ||
- 一方で世帯調査で実施したテストデータを用いても、教員の給与が1%引き上げられたときに、生徒の標準テストの数学の点数が8.42%、国語の点数が8.49%向上したことから、結果の頑健性が確認された。 | ||
- 教員の給与が1%引き上げられると、その省における教員の大卒割合が0.026%増加し、また、教員一人当たりの生徒数が0.943%減少した。 | ||
- 特に中国中央・西部に住む生徒や、低所得層出身、親が都市部に出稼ぎに出ており長期的に親戚に育てられているいわゆる「留守児童」の成績向上に大きな効果が見られた。 | ||
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contacts: | ||
- 石井俊輔 (The University of Edinburgh) | ||
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## 背景 | ||
- 中国では質の高い教員や若い教員が都市部での勤務を希望する傾向があり、農村部における教員不足が数・質共に深刻な問題になっている。 | ||
- 中国政府教育部は2015年に農村教員支援計画を導入し、農村部の教員の給与を引き上げることで対策を図った。 | ||
- これまでの学術研究の成果では、教員の給与引き上げが生徒の成績に与える影響に関しては場合によりけりで、一致した見解が得られていない。 | ||
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## 介入 | ||
- 農村部の教員に対する補助金支給。 | ||
- 教員一人当たりの支給額は地方政府により決定されたため地域によって異なるが、例として広東省では年に4,800元 (2024年9月のレートで約95,000円)、チベット自治区では地域の都市化の度合いにより年に6,000~18,000元 (2024年9月のレートで約120,000~約360,000円)の額が支給された。 | ||
- 地域ごとの支給額は2015-2020年の5年間一定だった。 | ||
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## 評価指標 | ||
- 生徒の数学と国語の試験成績。 | ||
- 評価は前学期試験における生徒の実際の成績を元に、4段階 (1: 不可、2: 可、3: 良、4: 優秀) で行われた。 | ||
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## 分析方法 | ||
- 地域間で給与引き上げ額が異なることを利用した差分の差分法。 | ||
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## 証拠の強さ | ||
- SMS: 3 | ||
- イベント分析を用いて、差分の差分法による分析におけるパラレルトレンドの仮定が成立していることを確認している。 | ||
- 生活環境の質が低いと成績が低くなると仮定できる場合、逆の因果関係が存在する可能性があるが、それに対して補助金支給前のデータで地域の都市化度合いにより試験成績に違いが見られないことを確認している。 | ||
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## サンプル | ||
- 2010年から2018年にかけて2年毎、計5回実施された中国家庭追跡調査のデータを使用した。 | ||
- 研究の対象となったのは、中国全国の農村部に住む6歳から15歳の子どもで、サンプルサイズは3,351人、観測数は9,480だった。 | ||
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## 結果 | ||
- 教員の給与が1%引き上げられると、教員がつける4段階の成績において生徒の数学の成績が0.48%、国語の成績が0.39%向上した。 | ||
- 一方で世帯調査で実施したテストデータを用いても、教員の給与が1%引き上げられたときに、生徒の標準テストの数学の点数が8.42%、国語の点数が8.49%向上したことから、結果の頑健性が確認された。 | ||
- 教員の給与が1%引き上げられると、その省における教員の大卒割合が0.026%増加し、また、教員一人当たりの生徒数が0.943%減少した。 | ||
- 特に中国中央・西部に住む生徒や、低所得層出身、親が都市部に出稼ぎに出ており6ヶ月以上親戚に育てられているいわゆる「留守児童」の成績に大きな効果が見られた。 | ||
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## 研究の弱点 | ||
- 実際の教員レベルの給与上昇額と教育の質のデータがないため、両者の関係を検証できていない。 | ||
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## 書誌情報 | ||
- Liu, T., Su, B., Wang, J. and Rozelle, S. (2024), Can a Teacher Salary Increase Promote Students' Educational Performance?. China & World Economy, 32: 114-145. https://doi.org/10.1111/cwe.12543 |